ジャンヌ・ダルクは、なぜ火あぶりにされたのか 〜 注11

公開: 2022年7月16日

更新: 2022年7月16日

注11. 出生時の性と思春期以後の性

カリブ海の小国、ドミニカ共和国には、女児として生まれたにもかかわらず、成長して肉体的には男性に変化した人々が、50人に1人程度の割合でいる村があるそうです。これは、その人が母親の胎内で成長していた時、子宮の中でどれくらい男性ホルモンのテストステロンを浴びたかによって、その赤ちゃんの身体的な特徴が決まることによって、起こることです。

胎児として母体内でテストステロンが少ないと、遺伝的にはXY染色体を持った男の子であっても、幼児として生まれる時には、女の子の特徴をもって生まれてきます。中世のヨーロッパ社会では、教会で洗礼の儀式を受ける時、そのような幼児は、性別を女児として記録されます。しかし、その子が成長して、思春期になると、体内でテストステロンが大量に分泌されるため、体の特徴も男性的に変化します。

染色体の違いや、性ホルモンのテストステロンを知らなかった中世ヨーロッパの人々にとっては、幼児期の性と、思春期以降の性が異なると言う事実は、理解できなかったのです。中世ヨーロッパの人々にとっては、人間の性別は、「神が決めたもの」であり、「変わることがない」ものだったのです。

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